最近思うこと。

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設計事務所を興してから30年が経とうとしている。
建築主の要望に真剣に向き合い、期待以上の住まいを提案しようというスタイルは今も変わりない。

これは28年前に設計して建てられた住宅で、私と同い年の建築主である。
彼はこの住宅を得ることで彼自身が更にレベルアップ出来るようなものを創って欲しいという要望を出した。

その要望を受けて、目の前の勤務先から家路に着くまでの距離を如何に精神的な
間合いを取ることが出来るかがコンセプトとなった。
リビングを吹き抜けにし、2階の中空にブリッジを掛けて立体的な生活空間を実現した。

やがて建築時に小学校に上がる前だった子供たちは独立して家を出た。
夫婦はニュージーランドに永住したいという夢が生まれ、二重生活のため、この家を空けることが多くなった。
そしてビジネスにも目途が立ち、この家を処分したいという結論になった。

この仕事を始めた頃は30年後のことなど想像もしなかったが現実を迎えてみると、あっという間で果たしてこれで良かったのだろうかと思い返す。
この家の家主とは友人としての付き合いをして頂き感謝もしてもらっている。

建築主の何年後を想像して家を創るべきなのか。
とても考えさせられる出来事だった。

来春、この家は壊され更地になる。

五藤

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