アパートを作りたいという建築主と打合せをしていた時のことである。
なんとか建築コストを下げたいとの要望を受けて同席の設備業者が切り出した。
「トイレ内の小さな手洗い洗面器を無くして、便器の上のタンクで洗うようにしたらどうですか?」「そうしたら手洗い洗面器が12セット削減できますよ・・・。」
「それでは石鹸が使えません。水では大腸菌は落とせませんよ。」とすかさず私が進言するも聞いてもらえず、設備業者の案はグッドアイデアということで、あえなく手洗いは削減されてしまった。
口は出しても工事費を一切出さない私のような建築士の意見などとても軽いものだと無力さを感じた瞬間だった。
ところで、トイレの後に手を洗わない人がどれだけいるかご存じだろうか。高速道路のPA、SAの男性公衆トイレで気にしてみていると約半数は洗わない。立派な身なりのダンディーなご年配でもスルー、デート中のお兄さんがヘアスタイルを整えてスルー、驚くのは大便ブースから出てきてスルーなのだ。
日本は世界から清潔な国として評価されているが、このように手洗いすら出来ない人がこれほど多い国なのだ。
今、日本は新型コロナウイルスの猛威で大混乱している。
そして、まもなく東京オリンピックがやってくる。それまでに何としても新型コロナウイルスを収束させなければならない。
政府の不要不急の外出制限やイベント中止、公立校の休校など非常事態に突入の様相だが、もっと基本的なことを守ればこのウイルスの拡散は抑えられていたと私は思っている。
小学校に上がる前から言われていることだ。オリンピックの前にすべきこと。
なぜできないのか。
皆さん、ちゃんと「手を洗いましょう!」
五藤